9月の声を聞いた途端に聞こえ始めた虫の音が秋の訪れを楽しませてくれる朝夕ですが、こういう場合の『きく』は『聞く』になりますね。
この漢字が使用される範囲はどうもやたらに広いようで、バタン!と閉じたドアの音も聞こえれば、ワンワンと犬の鳴き声も、流行の音楽を聞くのもこれ!耳に痛い忠告も聞けば、上司の自慢話も聞こえてきます。
なので非常にポピュラーな『聞く』がここにあります。
さて、同じ『きく』でももっとしっかり深くききますよ!というニュアンスが加わると漢字は『聴く』に変化します。
たとえば事情を聴く、身を入れて聴く、県民の声を聴く!なんて場合もこちらになりますね。
研修会などではこの違いを説明するために、『聴』という文字をそれを構成している4つの漢字に分解して、単に耳で聞くだけではなく、目と心をプラス(十)してしっかり聞くことなんですよ!っと泥臭い解説を加えたりしております。
さらに進化して『訊く』という文字になると、双方のやり取りをはさんで一層深く『きく』という気配が深まります。すでに常用漢字からは外れている文字ではありますが、お医者さんが患者さんに身体の具合を尋ねたりする場合にはこれがピッタリ来ませんか?
また同じ音で『鼻が利くとか、気が利くね!』という漢字もあれば、『お薬が効く効く!』という場合もあり、その意味は確かに違うものでありながら、『きく』という言葉の奥にそこに向き合う姿勢が見えてくるような気がします。
『きく』という言葉と音と文字とその意味を上辺ではなく考えてみたい秋です。
ちなみに私はこの原稿の作成中に何度も、『聞く』と打ったつもりが結構、『菊!』と変換されました。パソコンの中もしっかり秋なのでしょうか、、、。
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