2007年3月2日金曜日

名乗るということ

名前を名乗るということにおいて、ビジネス電話の場合は社名、氏名がセットとなる場合が一般的です。たとえば『ABC商事の片山です』という具合に。

ところが実際にはどちらか片方だけしか名乗られない場合も多くあります。
もし、社名だけしか名乗られない場合には<だれか>をはっきりさせるために『失礼ですが、ABC商事のどちら様でいらっしゃいますか?』と尋ねます。

反対に『片山です』と名前しか名乗られない場合には<どちらの>ということを尋ねることになります。この場合の定番の聞き方としては、すでに名乗って頂いているお名前を軸にしながら『恐れ入ります、どちらの片山様でいらっしゃいますか』というのが基本形として無難かつ便利です。

ただ最近の時流傾向としてはまさに2007年度問題を背景に、『どちらの』という部分が非常にナーバスな雰囲気を漂わす問いかけでもあります。

かくいう私自身もサラリーマンからフリーになって戸惑ったことのひとつがまさにこの『どちらの水谷様ですか?』と聞かれる瞬間でした。
あまりにも長く社名、氏名をセットで名乗る癖がついていたからでしょうが、思わず何と答えてよいのか、頭の中が真っ白になり、咄嗟の言葉が出せずに気付いたら「上京区の水谷です」と言っておりました。

あらためて個人としての存在価値への戸惑いを認識した瞬間でもあり、それは個人名だけでは通用しないのかという実に素朴な疑問の芽生えでもありました。

定年退職をされた方のみならず、多種多様な人生ステージにしっかりと向き合ってみれば、<どちらの?>という視点そのものへの不可解さが俄かにクローズアップされます。そこには電話応対研修で長年慣れ親しんできた<慣用句>発想の大元を見直すタイミングも示唆されているようです。

名前しか名乗らない相手に<どちらの?>と尋ねることがどれほどの意味を持つのか。こうした新たな課題に向き合えるこの瞬間のラッキーに深い感謝を!

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