タイトル:となりのクレーマー
著者:関根眞
出版社:中公新書ラクレ
720円(税抜)
<遠慮がなぜ上品な強情?>と思われた方のために、補足をいたしますと、
講演やセミナーの会場を思い浮かべて頂くとわかりやすいかもしれません。
一般的に席が自由になっている場合は、概ね真ん中あたりから順次、
埋まってゆくことになり、なぜか演壇に近い側は敬遠されます。
このため開演まじかになって、後ろの席が混み合う中でも前の方は空席で
ガラガラと言う状態は実によくある光景です。
そこで当初から「どうぞ、前の方のお席が空いております」と
案内を繰り返している事務局スタッフの声が一段と高くなり、耳を貸さない
顧客の移動誘導のため、会場整備に大汗をかく段取りになっております。
あるいは何かの会合等の場面でも、これと似たような光景が展開されます。
入り口に近い方から順次、席が埋まってゆくのは、百歩譲って、お互いの適度な<遠慮感覚>としても、前の席がガラガラなので少しづつ詰めてください!と案内されたら、移動するのが<大人のマナー>ではないでしょうか。
ところが多くの方が一度、席を決めたら絶対にそこから動かない!
という実態が恐ろしいほど常態化しております。
この光景を冷静に眺めていると<遠慮>がなぜ強情なのか、一目瞭然です。
その有様はまるで<岩にアワビが張り付いた如く>に頑なですが、
ご本人はおそらく<上品に遠慮した>という自覚しかお持ちでないはず。
かくして微塵も悪気のない分、その根本の強情さは一向に改善されないまま、
また今日もどこかで案内係を困らせる事態が展開されるはずです。
同様にどこまでが正当で、どこからが悪意かという判断が非常に難しいながら
考えさせられる1冊として、ご紹介したいのが「となりのクレーマー」です。
サブタイトルは「苦情を言う人」との交渉術とあります。
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