2006年10月11日水曜日

足音も歩き方の課題

社会人になって間もない頃は仕事の大半が会議資料のコピーであり、その会議室にお茶を運ぶことでした。今にして思えば、そうした仕事にもいくつもの大きな意義があるのですが、当時はそんなことに気付けるはずもなく、ただのつまらない仕事として受け止め、その分、実に可愛くない態度で事に当たっていたはずです。

そんなある日、午後からの会議開始直後、いつもと同じようにお茶を運んでいた折、突然、会議に参加されていた、ある方から『足音がうるさい!』と小声でしたが、とても厳しく注意をされました。ところがあまりにも突然の事態に一瞬、何を言われたのかがよくわからないまま、恐らく『はあ?』と聞き返したのだと思います。これに対して、その方からは『あなたのヒールの足音がうるさい。気をつけなさい!』と再度、ピシャリと叱責されました。
めんどくさそうにいやいやお茶を運んでいるせいだったのでしょうか、静かな会議室の中で議長挨拶が行われていて、数十人の参加者がそれに熱心に聞き入る中、お茶を配る新人の足元からカツンカツンと遠慮のない靴音が邪魔をする。きっと耳障りなその足音に誰もが厳しい叱責の目配せを送られていたかもしれません。でもそんなことに気付くはずもない全身丸ごとの不出来さをその方の一言がなんとか救ってくださった一幕でした。もちろん、そんな風に思えたのはしばらく後のことで、その瞬間は生意気盛りそのままに、ムッとしたはずですが、ひょいと視線をあげてみると、そこには実に多くの同感!の迷惑顔が飛び込んできて、さすがにさっと顔から血の気が引く!という生体験をさせて頂きました。言われてみれば反論しようのない場の空気にいかに愚かといえども、気付かされた顛末は今でもありありと情景の浮かぶ不始末のひとつです。

『他者配慮がないと私達の動作は思いのほか、大きな音を伴います。』ここに気付く原体験があの遠い会議室の出来事でした。ご自身の歩き方にはどんな足音が伴っていますか?駅の階段の昇り降りでカンカンと甲高いミュールの足音に思わず顔をしかめた経験はありませんか?あるいはドスン、ドスンと威嚇するような足音にどこのプロレスラー?と振り返ってしまったことはありませんか?歩き方の完成度向上をめざして、足音に気配りを!

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