2006年10月29日日曜日

天風先生座談(著者:宇野千代)

タイトル:天風先生座談
著者:宇野千代(故)
初版:1987年
出版社:廣済堂出版

今月もあと数日、読書の秋!もまもなく終盤戦といった頃合になりますが、納得できる本との出会いや、感動の活字体験を堪能されましたでしょうか?

さて、ほんの少し、昨日のテーマにも関連するあたりから始めてみたいと思います。【想像するから創造される】ということについて。

かつてそのセクシーな容姿で世界的な大女優に登り詰めたマリリンモンローは、その不幸な生い立ちのせいで、幼心に『幸せは決していつまでも続かない』と深く刻みつけてしまった、と言われています。故に後年、人も羨むロマンスの中、幸せの絶頂で彼女はいつもその言葉を思い出し、これはいつまでも続かないと悲しい別離を繰り返すことになります。彼女の私生活はまさに彼女が心に決めて想像した通りに現実を創造し続けた、という切ない解釈になります。
今もって謎とされる死因にもそんな悲しい背景が多分に絡んでいそうです。

反対に時代背景からすれば、驚くほど自由奔放に恋愛をし、しかも明るく楽しく、人生を謳歌し、成功し、長寿を全うされた日本人女性として、故宇野千代さんがおられます。多くの作品を残されましたが、実は映画にもなった『おはん』という作品を執筆後、18年間、1行も書けない!という時期を過ごしておられます。宇野さんがこの長きに亘る暗闇から抜け出し、見事に光溢れる世界に戻ることが出来たのは、あの有名な故、中村天風氏との出会いに拠ります。

宇野さんが書かれた『天風先生座談』は廣済堂出版から1987年に出版されていますが、おそらく今、これを手に入れるのはかなり難しい気もいたします。
が、中村天風氏の本は、宇野千代さんをはるかに超えるほど沢山、出版されていますので、この機会にぜひ、何かにトライしてみてください。

ご自身の体験を土台とされた人生訓は多くの政治家・官僚・経営者が今もって
師と仰ぎ、価値ある人生への羅針盤とも言うべき実践の指南に溢れていますが、
宇野千代さんが天啓と受け止めたそれは『人間は何事も自分の考えた通りになる。出来ないと思うものは出来ない。出来ると信念することはどんなことでも出来る』という言葉だったそうです。

『書けると思えば、書けるの?』そしたら、『本当に書けるようになっちゃったの!』と宇野さんが語る言葉は力強い輝きのメッセージでもあります。

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