地下鉄を利用するとき、我が家から最も近いのは今出川駅になります。
その駅に向かう道すがら、寺町から烏丸までの今出川通りの大半は南側が御所、北側が同志社。歩道は圧倒的に南側が広く、北側は狭くなります。
いつだったか、雨の朝。結構、急ぎ足で駅に向かう時間帯が見事に同志社の学生サン達の通学タイムにバッティングしたことがありました。しかもたまたま同志社前のバス停のめったに押されない押しボタン信号が青になり、いつもなら南側の御所サイドの広い歩道で烏丸までを歩きぬくのに、、、その日に限ってなぜか、北側歩道に進路を取ってしまいました。
おかげさまで駅までの道中は当方の行く手を阻むかのような、学生さんたちとの激しくも情けない、すれ違いバトルが展開されることになりました。
『傘かたげ』という言葉をご存知でしょうか?狭い道で誰かとすれ違うときに自分の傘が相手の傘とぶつからないように、双方が互いの傘をどちらかに傾けてすれ違いを滑らかにする仕草のことを言います。
京都のそこかしこに点在する狭い路地にあっては、お互い様にこの『傘かたげ』をして譲り合いながら、気持ちよく行き交う知恵を育んできたはず。
そしてそれはこの国のどこでも語り継がれ、受け継がれてきたはず、、、。
ではなかったことをその朝、しっかり思い知らされました。
傘の中の顔がこちらからは見えないほどしっかり深くさした傘で、ズンズン突き進んでくる様子はまるで闘牛の牛さながら。正面衝突を避けるためにこちらが傘をよけていても、すれ違うたびに必ず傘のどこかがぶつかり、その拍子に飛び散る雨のしぶきが容赦なく顔や肩に振りかかってくる始末。
もちろん、傘がぶつかったからとて、『ごめんなさい』もなければ、『失礼』も
なく、『あっ』とか『えっ』すらないことに、段々、怒りを通りこして不安と絶望がシャッフルされたような、実にやるせない気分になってしまいました。
いくら見ず知らずの他人とは言え、お互い様に譲り合う心とその表わし方としての公共マナーの教室をこうなったら開催するほかないのでしょうか?
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