2006年12月4日月曜日

おもてなしへの情報収集

【おもてなしのマナー】に向き合う現場で、タイミングがいつとは限定しにくいもののひとつに<お土産を頂戴する>という場面があります。

自宅にお招きしている場合はたいてい、お出迎えをして、お部屋へのご案内が済んだ辺りがタイミングかと思われます。昔は『つまらないものですが、、、』とか『お口汚しですが、、、』と謙遜しつつ、控えめな言葉を添えてお土産を差し出したものですが、今は随分と景色が変わりました。

いわく『近所で評判のチーズケーキなんです、ぜひお試し頂きたくて20分も並んで買ってきました』と実に上手にさわやかに恩着せがましかったり。

『季節限定で今しか手に入らない代物です、ご一緒に賞味したいと思って取り寄せましたの』と見事な采配フレーズでおもたせの強要も決して嫌味には聞こえないから不思議です。『出来たら紅茶が合うかしら!』とくればかなりの強者。
こんな場合に、『紅茶は切らしていますので、、、』とモゴモゴと言い訳モードになるのも妙に悔しいものだったりします。

となればこそ、あらかじめお招きするお客様の趣味や嗜好についての情報収集やそれに合わせた準備の必要性にあらためて、おもてなしの心意気が問われることに思い至ります。

実はこの究極の形こそが、京都のおもてなしにあってよく誤解されてしまう
【一見さんのお断り】の精神でもあります。見ず知らずのお客様が突然お見えになって、何ひとつ情報もないまま、どうやっておもてなしができるのでしょうか?という実に本質的かつ素朴な問いかけがそこには存在しています。

性別、年齢、食べ物の好き嫌い、お好きなお酒、最近では和室でも椅子席希望が激増する中、お望みのしつらいに、ご趣味にあわせたお部屋の演出、ご予算、などなど情報があればこそ、そのおもてなしの精度を上げることが可能です。

フランクな間柄では『粗品ですが、、』なんて言おうものなら、『じゃ、いらない。持って帰って!』と言える楽な時代ですが、それとは異なる眼差しが一方で確かに存在し、そして求められているのも真実です。

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